FP 中川拓人の活動記録

"信じてくれる人を、徹底的に守れる存在になる"を目標に、商売を通して学んだ「考え方」を中心に発信しています。

遺言書の書き方

北陸でファイナンシャルプランナーとしても活動している中川拓人です。

今回は、「遺言書の書き方」について書きたいと思います。


※この記事は、様々なネット記事を総合して、自分が見返した時に、
分かりやすいように作成した単なる備忘録です。※

 

遺言書とは死後に財産をどのように分けるのか示したものです。
遺言書で財産の分け方について意思表示をしておくことで渡したい人に財産を譲ることができます。なお、故人が遺言書を作成していない場合は遺産の分け方について相続人全員で話し合って決めます。

ただし、民法の第960条に「遺言は、この法律に定める方式に従わなければ、することができない」と定められています。つまり、遺言書は民法の規定に従って作成されなければ法的効力はないということを意味します。

 

◆遺言書の効力
☆誰に何を渡すのか指定できる
☆相続する権利を剥奪できる
(他にも当然あるが、割愛)


◆遺言書の書き方
遺言書には自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言の3種類があります。

【自筆証書遺言】
自筆証書遺言は、その名称のとおり、自分で作成した遺言書のことです。
遺言者が遺言書の全文・日付・氏名を自筆し、押印して作成する形式です。
誰でもすぐに作成できますが、様式が厳格に定められており、様式を少しでも誤ると無効になってしまうというおそれや、紛失・偽造・変造といったリスクがあります。

尚、遺言書を勝手に開封してはいけません。家庭裁判所に遺言書を提出し、検認をおこなう必要があります。



公正証書遺言】
公正証書遺言は、公証役場において、遺言の内容を伝え、公証人に作成してもらい、公証役場で保管してもらう遺言書のことです。
2人以上の証人の立会いのもと、公証人が遺言者から遺言内容を聴き取りながら作成する形式です。

自筆証書遺言と異なり、公証人に作成してもらうことから、様式を誤ってしまって無効になることはありませんし、偽造のおそれもありません。さらに、公証役場で保管してもらうことから、紛失や変造のおそれもありません。
遺言者が亡くなったら最寄りの公証役場に行き、遺言書の内容を確認し、相続手続きをおこないます。

 

 

【秘密証書遺言】
秘密証書遺言は、自分で作成した遺言書を公証役場に持参し、「その方が書いた遺言書が存在すること」の証明を付けてもらった遺言のことです。
証明を付してもらった後は、遺言者が自分で遺言書を保管するか、誰かに保管を依頼することになります。
公証人による証明があるので、その遺言書を遺言者本人が間違いなく書いたということが証明できるという点が自筆証書遺言よりも優れているといえます。

遺言者が作成した遺言を2人以上の証人と一緒に公証役場に持ち込み、遺言書の存在を保証してもらう形式です。秘密証書遺言は、署名と押印だけ遺言者がおこなえば、遺言書をパソコンで作成したり、代筆してもらったりしても問題ありません。遺言書は遺言者自身で保管します。
秘密証書遺言も自筆証書遺言と同様、勝手に開封してはいけません。家庭裁判所で検認してもらう必要があります。

 


◆遺言書が無効にならないための5つのポイント
1、必ず自筆で記載する
自筆証書遺言は、必ず「全文」を「自筆」で書く必要があります。

最近では、文章を作成するときは、パソコンで作成することがほとんどになりましたが、パソコンで作成した遺言書は、仮に本人の署名や押印があっても無効になります。

遺言書本文を全部自筆し、添付する財産目録だけパソコンで作成したという事例においても、遺言書が無効と判断された裁判例もあるので注意が必要です。

 

2、必ず署名・押印する
自筆証書遺言には、遺言者が、必ず、氏名を自書した上で、押印をしなければなりません。

また、署名をするのは、必ず遺言者1名のみとされており、夫婦二人で共同で遺言をするということはできないので、注意が必要です。

なお、押印は実印でなくてもよく、また、拇印でも良いのですが、拇印だと遺言者本人のものかどうかわからなくなる可能性があるので、避けた方がよいでしょう。

 

3、必ず日付を記載する。
自筆証書遺言には、必ず作成日を記載しなければなりません。

そして、この日付も「自書」しなければならないので、スタンプ等を利用すると無効になってしまいます。

また、「平成〇〇年〇月吉日」というような書き方も、作成日が特定できず、無効となってしまうので、必ず、年月日をきちんと記載することが大切です。

 

4、訂正の方法に気を付ける
自筆証書遺言の記載内容を訂正する場合もそのやり方が厳格に決められています。

必ず、訂正した場所に押印をして正しい文字を記載した上で、どこをどのように訂正したのかを余白等に記載してその場所に署名しなければなりません。

具体的には、訂正したい箇所に二重線等を引き、二重線の上に押印し、その横に正しい文字を記載します。

そして、遺言書の末尾などに、「〇行目〇文字削除〇文字追加」と自書で追記して署名をする、ということになります。

このように、訂正方法もかなり厳格なので、万が一、遺言書を訂正したいときは、できる限り始めから書き直した方がよいでしょう(訂正前のものは無用な混乱を避けるため必ず破棄するようにしましょう)。

 

5、2枚以上になったら契印をし、封筒などにいれて封印する
遺言書が2枚以上にわたった場合には、ホッチキス等で綴り、契印をするようにしましょう。

契印とは、二枚以上の書類がある場合に、それらが一式の書類で、順番に違いないこと(抜き取られていたり、足されたり、順番が入れ替わったりしていないこと)を証明するために、複数のページ(例えば1枚目と2枚目)に渡って印影が残るように押す印鑑のことです。

契印は遺言書が有効となるための必須の条件ではありませんが、偽造や変造を防ぐためには大切なことです。

同様に、遺言書を作成したら、封筒などに入れて封印をして保管するようにしましょう。

これも、封印しなかったからといって無効になるわけではないのですが、偽造や変造を防止するためには重要なポイントです(仮に偽造・変造されなかった場合でも、偽造や変造を疑われないためという意味において、契印や封印をしておくことが大切です)。

 

 

◆遺言書で相続人が困らないための3つのポイント
1、意思を明確に記載する
遺言書の内容は、遺言者が亡くなった後に他人が読んで明確に意味がわかるように記載する必要があります。

記載の内容が曖昧であったり、誤記があったりした場合、遺言書を開封したときには、遺言者は既に亡くなっているので、その意味を遺言者本人に確認することはできません。

判例においては、「遺言書に表明されている遺言者の意思を尊重して合理的にその趣旨を解釈すべきであるが,可能な限りこれを有効となるように解釈する」と判断されており、遺言書の内容に曖昧な部分や不明確な部分があっても、それだけで無効になるわけではありませんが、相続人間に無用なトラブルを生む可能性があるので、曖昧な表記等には気を付ける必要があります。

 

2、遺留分に配慮する
兄弟姉妹以外の相続人には、遺言によっても奪われない最低限度の相続分として、法律上、遺留分法定相続分の2分の1。親などの直系尊属のみが相続人の場合はその法定相続分の3分の1)が認められています。

この遺留分を侵害する遺言(遺留分を有する相続人に遺留分を下回る財産しか相続させない遺言)も法律上有効ですが、遺留分を侵害された相続人は、相続開始後、他の相続人に対して、遺留分減殺請求をすることができます。

そのため、遺言によって遺留分を侵害してしまうと、遺言者の死後、相続人の間で揉め事が起きてしまう可能性があるので、その点に注意して遺言書を作成することが大事です。

遺留分について詳しくは「遺留分とは?遺言や贈与で持っていかれた相続財産を取り戻す方法を説明」をご参照ください。

 

3、遺言執行者を選任しておく
相続財産の中に不動産がある場合、遺言者が死亡した後、不動産の名義(登記)を遺言者から相続人(受遺者)に変更する必要があります。

この場合、不動産を相続させる者が1名であっても、名義変更(所有権移転登記)の手続きの際に、相続人全員の協力が必要となります。

このような実際の相続の場面における相続人の煩雑さを回避する方法として、遺言の中で遺言執行者を選任するという方法があります。

遺言執行者は、相続が開始した後(遺言者が死亡した後)、遺言書の内容に従って相続させるために必要な手続きを単独で行う権限を有しているので、種々の手続きに万が一、相続人の協力が得られないような場合であっても手続きを行うことができるというメリットがあります。

遺言執行者は、相続人のうちの一人を選任しても構いません。

ただ、名義の変更等は専門的な知識を要するので、弁護士や司法書士に依頼する場合も多いです。

 

 

◆遺言書を撤回したときには
ある方について遺言書が2通以上存在する場合で、その2通の内容が抵触する場合には、作成日付が後のほうの遺言書の内容が有効になります。

つまり、一度遺言書を作成した後でも、その内容と異なる遺言書を作成すれば、以前の遺言書の内容を撤回することができるということになります。

ただ、後の遺言書で撤回されるのは、前の遺言書のうち、あくまで内容が抵触する部分だけであって、抵触しない部分は効力を有したままということになります。

ネット上でも、遺言書を2通作成すると前の遺言書が全て撤回されるかのような記載がなされている場合もあり、勘違いされている方もおられるので注意が必要です。

 

 


ポイント

 

自分が亡くなった後に、揉め事が起きないように

最後の最後まで責任を取るのが、人間のあるべき姿であり、理想。

20代、30代でも遺言書は、必ず作成しましょう。

 

(FPの立場で、こんな事言うのもおかしいかもしれませんが)

100歩譲って、その遺言書が仮に正式に効力を発揮しない様式だったとしても、その遺言書を書こうとして意思表示をしたのであれば、自分が亡くなってしまった後に話し合う際に、必ず尊重されるでしょう。つまり、とりあえず書く!それが大事。

 

追伸

これまで自筆証書遺言しか作成してこなかったけど、編集などが面倒なので、

次回からは、パソコン打ちが認められる秘密証書遺言にしようと思いました。

 

【FP 中川拓人の活動記録】
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